触媒フィルターはばいじんとNOxをどのように同時に処理するのか? > 技術コラム
本文へ移動
ホーム > 技術研究所 > 技術コラム > 触媒フィルターはばいじんとNOxをどのように同時に処理するのか?
技術比較

触媒フィルターはばいじんとNOxをどのように同時に処理するのか?

執筆:マイクロワン技術研究所約15分で読めます

定義と作動の仕組みから、セラミックキャンドルと繊維系の比較、適用条件と確認の順序まで

ポイント触媒フィルターは、ばいじんを捕集するフィルターにNOxを分解する触媒機能を組み込み、ばいじんと窒素酸化物(NOx)を1つの装置で処理する方式です。触媒フィルター(触媒一体型ろ過)は、まずフィルター表面でばいじんをろ過し、その後フィルター内部の触媒層で還元剤のアンモニア(NH₃)とNOxを反応させ、窒素(N₂)と水(H₂O)に変える技術です。形態はセラミックキャンドルから、フィルターバッグ(ろ布)型の繊維系へと発展してきました。ただし、還元剤の注入と触媒が活性化する温度条件が必要であり、独立した反応器型のSCR(選択的触媒還元)を全面的に置き換える技術ではありません。
FLOW IN A BAGHOUSE触媒フィルターバッグを装着したバグフィルター(BF)では、ガスはどのように処理されるのか?
図1. バグフィルターのケーシング内にフィルターバッグが並び、左からばいじんとNOxを含む排ガスが流入してフィルターバッグを通過し、上部に集まった後、右へ清浄ガスが排出され、捕集されたばいじんは下部のホッパーへ落下する様子ばいじん・NOx
流入
清浄ガス
排出
捕集ばいじん排出

図1. バグフィルター内で排ガスがフィルターバッグを通過し、捕集されたばいじんがホッパーへ落下する流れを示す概念図です。フィルターバッグ内部の構造は下の図2で説明します。実際の設備の寸法・形状とは異なります。

出典:株式会社マイクロワン自社技術資料に基づく・AIを活用した概念図

01 · DEFINITION

触媒フィルターとは何か、ばいじんとNOxをどのように同時に処理するのか?

触媒フィルターは、ろ過と脱硝を1つのフィルターで行う方式です。ばいじんの捕集とNOxの分解を別々の設備に任せるのではなく、フィルターの構造内で順に処理します。この考え方は触媒一体型ろ過(Catalytic Filtration)と呼ばれ、最近生まれた新しい概念ではありません。

触媒は、反応に関与しながら自らは消費されず、反応に必要なエネルギー(活性化エネルギー)を下げる物質です。そのため、触媒がない場合より低い温度でも反応が進みます。自動車の排ガス浄化、石油精製、発電所・焼却施設のNOx低減にも同じ原理が使われています。脱硝で用いられる代表的な反応は4NO + 4NH₃ + O₂ → 4N₂ + 6H₂Oです。

作動の順序は「表面ろ過 → 還元剤の混合 → 触媒反応」です

ステップ1 · 表面ろ過ばいじんがまずフィルター表面で捕集されます
ステップ2 · 還元剤の混合フィルターの前で注入したNH₃が、NOxとともにフィルター内へ入ります
ステップ3 · 触媒反応触媒層でNOxとNH₃がN₂とH₂Oに変わります

順序が重要です。ばいじんを先にろ過すると触媒層にばいじんが直接触れる度合いが減るため、一般に触媒層の摩耗や細孔(微細な孔)の閉塞を抑えるうえで有利です。ばいじんを含む排ガスに触媒を直接さらす構成との違いです。

FILTER CROSS-SECTIONフィルター内では、ばいじんとNOxはどこで分かれて処理されるのか?
図2. フィルター断面の概念図。上から入ったばいじんが平らなePTFEメンブレンの表面で止まり、ガスはメンブレンを抜けて触媒粒子を含むPTFE不織布を通過し、下へ抜けていく様子ばいじん・NOx流入ePTFEメンブレン清浄ガス排出
図中の表示NOx分子(オレンジの円=N、赤い円=O・NO、NO₂の形)ばいじん(黒い粒子)ePTFEメンブレン(水色の層)触媒粒子(繊維間の大きな青い球)
  • ePTFEメンブレン: 最前面(水色の層)でばいじんを表面に止める平らなろ過層
  • 触媒担持PTFE不織布: 繊維の間に触媒粒子が保持され、NOxが反応する層

図2. メンブレン表面でばいじんが止まり、触媒粒子を担持した不織布でNOxが反応するフィルター断面の概念図です。メンブレンの厚さと粒子の大きさは理解しやすいよう誇張しており、実際の寸法とは異なります。

出典:株式会社マイクロワン自社技術資料に基づく・AIを活用した概念図

集じん用フィルターに触媒を入れると、ばいじんで触媒が詰まりませんか?
触媒層の前にばいじんを捕集するろ過層が来るよう設計するため、ばいじんが触媒層に直接触れる度合いを減らせます。ただし、ろ過は粒子を捕集する方式なので、ガス成分は除去できません。この点は下の「適用条件と限界」で説明します。

02 · TECHNOLOGY FLOW

触媒フィルターの技術は、セラミックキャンドルから繊維系へどのように発展してきたのか?

当初はセラミックキャンドルフィルターに触媒を組み込む方式が使われ、その後、柔軟なろ布に触媒を担持した繊維系が登場したことで、既設バグフィルターのフィルターバッグを交換して触媒ろ過を導入する道が開かれました。

セラミックキャンドル:硬いフィルター壁に触媒を組み込んだ方式

セラミックキャンドル触媒フィルターは、セラミック繊維で作った円筒形フィルター(キャンドル)の壁に触媒を組み込み、ばいじんの捕集とNOxの還元を1つの部材で行います。米国Tri-MerのUltraCatは触媒粒子をフィルター壁全体に埋め込んだ軽量の繊維質セラミックフィルターで[1]、英国Clear EdgeのCerafil TopKatはHaldor Topsøeと共同開発した触媒セラミックフィルターエレメントです[3]。寸法の例として、Tri-Merの資料には長さ10フィート(約3 m)・直径6インチ(約150 mm)のフィルターと、パルスジェット逆洗による払い落とし方式が記載されています[2]。このメーカー資料では、NOx制御が始まる温度は約350°F(約177℃)です[1]。

図3. 細長いセラミックキャンドル触媒フィルター。上部に取付用フランジがあり、壁を拡大するとセラミック繊維の間に触媒粒子が埋め込まれている様子(メンブレン層なし)セラミックキャンドル触媒粒子入りの
セラミック繊維

図3. セラミックキャンドル触媒フィルターの概念図です。セラミック繊維で作った細長い円筒形フィルターの壁の中に、触媒粒子(青色)が埋め込まれています。拡大部分の繊維の太さと粒子の大きさは、理解しやすいよう表現したものです。

出典:株式会社マイクロワン自社技術資料に基づく・AIを活用した概念図

セラミックキャンドルを検討する際の確認点

  • 長さの制約: 触媒セラミックキャンドルの長さは通常2 m、長くても3 m程度です。焼結セラミック材料の機械的特性と運転中の機械的応力のためにこれ以上長くするのは難しく、そのためキャンドル1本あたりのろ過面積が限られるという説明が特許文献にあります[4]。
  • ろ過面積: 単純計算で、長さ3 m・直径150 mmのキャンドルの円筒面積は約1.4㎡、長さ6 m・直径160 mmのフィルターバッグは約3.0㎡です。6~8 mのロングバッグを使う大型集じん機でキャンドルに置き換えると、ろ過面積が大きく減る可能性があるため、処理ガス量とろ過速度を再計算する必要があります。この値は円筒の外表面積だけを計算したもので、実際のろ過面積は製品構造によって異なります。
  • 破損の管理: セラミック材料の特性上、輸送・据付・払い落とし時の衝撃による破損の可能性を管理する必要があります。ただし、Tri-Merは自社フィルターを軽量で延性のある(ductile)セラミックフィルターと説明しているため[1]、製品ごとの仕様と取り扱い条件を確認する必要があります。

繊維系:フィルターバッグ型のろ材に触媒を担持した方式

繊維系触媒フィルターは、フィルターバッグのような柔軟なろ材に触媒を担持した方式です。この方式が実用化されたことで、既設バグフィルターのフィルターバッグを交換するだけで触媒ろ過を導入する道が生まれました。TopsoeのCataFlex™は標準ろ布の内側に触媒織物層を設けた構造で[5]、GoreのGORE® DeNOxはePTFEメンブレンとPTFEベースの触媒フェルトを組み合わせた構造です[6]。このように、構造はメーカーごとに異なります。

顧客現場に納入し、運転実績を積んだ触媒フィルターバッグのサプライヤーは、Gore、Topsoe、マイクロワンなど数えるほどしかありません。

図4. 繊維系触媒フィルターバッグ。ケージに装着したフィルターバッグの壁を拡大すると、最外層に水色で示した薄く平らなePTFEメンブレン層があり、その後ろの白いPTFE不織布の繊維の間に青い触媒粒子が保持されている様子フィルターバッグePTFE
メンブレン
触媒担持PTFE不織布

図4. 繊維系触媒フィルターバッグの概念図です。最外層の薄く平らなePTFEメンブレン層(水色の線)の後ろで、白いPTFE不織布の繊維の間に触媒粒子(青色)が保持されています。層の色と厚さ、粒子の大きさ・間隔は、理解しやすいよう表現したものです。

出典:株式会社マイクロワン自社技術資料に基づく・AIを活用した概念図

メンブレンの細孔が均一でなければならない理由

株式会社マイクロワンは、触媒を担持したPTFE不織布にePTFEメンブレンをラミネートした構造において、メンブレン細孔の均一性を設計基準としています。細孔が不均一だと、第一に圧力損失が上がって送風機の動力費が増え、第二に圧力の低い箇所へガスが集中して(偏流)脱硝効率が下がり、第三に払い落としを繰り返すうちに応力が一か所に集中してメンブレンが破断するおそれがあります。メンブレンがばいじんを表面でろ過する原理は、深層ろ過と表面ろ過の違いとは?で詳しく説明しています。

03 · COMPARISON

集じんと脱硝を同時に行う3つの方式は、何が違うのか?

3方式の最大の違いは、触媒層がフィルターに対してどのような位置関係に置かれるかです。セラミックキャンドルと繊維系はフィルター自体が触媒を持ち、バグフィルター上部触媒モジュールはフィルターの後段に触媒を別に置きます。SNCR・SCR・オゾン酸化まで含めた焼却炉のNOx低減の選択肢全体は、焼却炉のNOx排出基準が強化されたら、どんな選択肢があるか?で比較しています。

バグフィルター上部触媒モジュールは、バグフィルター上部の清浄ガス側に押出成形した触媒モジュールを設置し、低温SCRを構成する方式です。ばいじんを先に除去してから触媒に通すため、触媒の摩耗と粒子による被毒を抑えられ、大型のSCR塔と長いダクトを減らすことができます。ただし、フィルターバッグの真上に触媒モジュールが置かれるため、バッグを交換するには触媒モジュールを先に取り外さなければなりません。そのため、バッグに破れが生じてもすぐには交換できず、緊急対応が遅れるおそれがあります。

図5. バグフィルター上部触媒モジュール方式。ケーシング下部のフィルターバッグでばいじんを除去したガスが、上部の清浄ガス側にある黄色いハニカム触媒モジュールを通過する構造上部触媒モジュールフィルターバッグホッパー

図5. バグフィルター上部触媒モジュール方式の概念図です。フィルターバッグで先にばいじんを除去したガスが、上部の清浄ガス側にある触媒モジュール(黄色のハニカム)を通過する間に脱硝されます。実際の設備構成は現場ごとに異なります。

出典:株式会社マイクロワン自社技術資料に基づく・AIを活用した概念図

比較項目セラミックキャンドルバグフィルター上部触媒モジュール繊維系触媒フィルター(フィルターバッグ)
触媒の位置セラミック繊維フィルターの壁内部フィルター後段・清浄ガス側の独立したモジュールフィルターバッグ内部(触媒担持ろ材)
ろ過と脱硝1つの部材で同時に実施フィルターでろ過した後、モジュールで脱硝(順次)1つの部材(フィルターバッグ)で同時に実施
形状・寸法円筒形キャンドル、長さは通常2 m・最大3 m程度押出成形の触媒モジュール既存のフィルターバッグと同じ形状
既設設備への適用パルスジェット式集じん機に装着可能[1][3](キャンドル寸法に合う構成の検討が必要)清浄ガス側にモジュールの設置スペースが必要チューブシート・ケージの仕様と運転条件が合えば、フィルターバッグの交換と還元剤注入設備の追加で適用
フィルターバッグの破れ・損傷時キャンドルの破損管理が必要破れた箇所から漏れたばいじんが下流の共用触媒層に達するおそれがあり、破れの早期検知と対処が重要触媒層がフィルターバッグごとに独立しているため、脱硝面の影響は当該フィルターバッグの範囲にとどまり、破れの点検と交換で対処
交換・保守キャンドル単位で交換フィルターバッグの上を触媒モジュールが覆っているため、バッグを交換するには先に触媒モジュールを移動・解体する必要がある。破れが生じてもすぐに交換できず、緊急対応が遅れ、保守時間が長くなる通常のフィルターバッグ交換手順
圧力損失フィルター自体の圧力損失フィルターの圧力損失+触媒モジュールの圧力損失(設計ごとに確認)触媒担持フィルターバッグの圧力損失(一般のフィルターバッグより高い場合があり、製品ごとに確認)

表は各方式の構造的な特徴を整理したもので、どの方式が優れているという意味ではありません。温度、設備規模、既設設備の構成によって選択は変わります。

セラミックキャンドルと繊維系では、どちらが優れていますか?
条件が異なるため、単純には比較できません。一般に、高温の排ガスにはセラミックキャンドルが、既設バグフィルターのフィルターバッグを交換する範囲(120~200℃前後)では繊維系が検討対象になります。いずれの場合も、排ガス温度と既設設備の仕様をまず確認する必要があります。

04 · CONDITIONS AND LIMITS

触媒フィルターはどのような条件で使え、限界は何か?

触媒フィルターは、還元剤の注入、触媒が活性化する温度、既設設備との互換性という3つの条件が揃ったときに使える技術であり、独立した反応器型SCRを全面的に置き換えるものではありません。

① 還元剤の注入が必要です

触媒フィルターは、NOxを自ら分解するわけではありません。フィルターの前で供給したアンモニア(NH₃)や尿素水などの還元剤が、触媒上でNOxと反応する必要があります。Topsoeは、NOxを低減するにはフィルターの前でNH₃などの還元剤を注入する必要があると説明しており[5]、Goreも、このフィルターバッグはNOxと反応するNH₃がなければ機能しないと説明しています[7]。尿素水を使う場合は、フィルターに達する前にNH₃へ分解されるよう、噴霧位置や分解設備を合わせて検討します。還元剤の貯蔵・注入・制御設備は別途必要で、注入量が多いと、反応しきれなかったNH₃が排出されるリークアンモニアを管理しなければなりません。

② 温度が合っている必要があります

一般的なV₂O₅-WO₃/TiO₂系SCR触媒は、通常おおむね300℃以上で設計効率を発揮し、焼却炉の後段に置く低温SCR触媒も多くは200℃以上で運転します。一方、バグフィルターの運転温度は通常120~180℃です。株式会社マイクロワンは、この温度差を業界共通の課題と捉えています。この差を埋める方法は、排ガスを再加熱するか、低い温度でも働く触媒にするかの2つです。

温度が低い場合のリスクもあります。デンマーク環境保護庁が発行したCataFlexの実証報告書は、酸性硫安(硫酸水素アンモニウム、ammonium bisulphate)の析出を避けるには、フィルター温度を約185℃以上に保つ必要があると説明しています[8]。NH₃がSO₃と反応して生じるアンモニウム塩が、フィルターと触媒を閉塞させるおそれがあるためです。したがって、定常運転温度だけでなく、温度の変動幅と起動・停止時まで確認する必要があります。

③ ばいじんのろ過で防げる被毒と防げない被毒を区別する必要があります

ばいじんを先にろ過すれば、ばいじん中の成分に触媒が触れることを減らせる点は、メーカー資料でも説明されています[9]。しかし、ガス状の物質はろ過では除去できません。触媒の被毒とリークアンモニアの原理は、SCR触媒の性能はなぜ低下するのか?被毒・温度・リークアンモニアで詳しく説明しています。

項目前段ろ過の効果理由
飛灰・微細ばいじん減らせる粒子なのでフィルター表面で捕集されます
ばいじんに付着したアルカリ成分(K・Na・Ca)減らせるばいじんとともにろ過されます
粒子状の重金属減らせる粒子なので捕集されます
未反応の吸収剤粉末減らせる粉末粒子なので捕集されます。カルシウム分が触媒表面を覆って活性を下げることを抑えられます
ガス状のSO₂・SO₃・HCl減らせないガス状のため、ろ過では除去できません
水蒸気(可逆的な活性低下の要因)減らせないガス状のため、ろ過では除去できません
ガス状の水銀など一部の揮発性重金属減らせないガス状のままフィルターを通過します
NH₃とSO₃・HClが反応して生じるアンモニウム塩減らせない(析出のおそれ)反応生成物のため、前段ろ過では防げません

④ 独立した反応器型SCRを全面的に置き換える技術ではありません

既設バグフィルターのチューブシート・ケージの仕様と運転条件が要件を満たせば、フィルターバッグの交換と還元剤注入設備の追加で脱硝機能を加えることができます。ただし、集じん性能が維持されるか、既設設備と機械的・熱的・流体力学的に互換性があるかを先に評価する必要があります。触媒フィルターは、SNCRだけでは基準を満たしにくい一方で、独立したSCR反応器の新設は負担が大きい設備で検討される選択肢の一つです[8]。求められる低減率や設備条件によっては、反応器型SCRが適している現場も多くあります。

05 · CHECKLIST

導入を検討するときは、どの順序で確認するのか?

排ガス温度、既設バグフィルターの仕様、還元剤系統、排ガス成分、必要な低減率、稼働後の点検の順に確認するのが一般的です。前の段階が合わなければ、後の段階を検討する必要がないためです。

  1. 排ガス温度: 定常運転温度、変動幅、起動・停止時の温度を確認します。触媒の活性温度とフィルターバッグの耐熱限界の間に収まるかを見ます。
  2. 既設バグフィルターの仕様: チューブシート・ケージの仕様、ろ過速度、現在の圧力損失の余裕を確認します。
  3. 還元剤系統: NH₃(または尿素水とその分解方式)の注入位置、排ガスとの混合、注入量の制御、リークアンモニアの管理方法を決めます。SNCRを稼働中であれば、残留NH₃も合わせて確認します。
  4. 排ガス成分: SO₂・SO₃・HCl、水分、アルカリを含むばいじんを確認します。前段の酸性ガス処理設備(半乾式・乾式反応塔)の構成も合わせて確認します。
  5. 必要な低減率: 現在のNOx排出レベルと目標を比較し、必要な低減幅が触媒フィルターで対応できる範囲かを判断します。
  6. 稼働後の点検: 圧力損失の推移、出口のNOx・NH₃濃度、フィルターバッグの破れの点検と交換履歴、還元剤使用量を定期的に確認します。

この順序は一般的な検討の流れであり、現場条件によって変わることがあります。実際に適用できるかどうかは、現場の排ガス条件に基づく事前検討で判断する必要があります。

マイクロワンは、触媒を担持したPTFE不織布にePTFEメンブレンをラミネートした触媒フィルターバッグ(CataFill™)を提供しています。2024年、台湾の崁頂(Kanding)焼却炉にCataFill™触媒フィルターバッグ3,300本を納入しました。適用温度は排ガス120~200℃で、NOx低減には180℃以上を推奨しており、適用前には既設バグフィルターとの互換性評価が必要です。

FAQ

よくある質問

触媒フィルターはSCRを完全に置き換えられますか?

いいえ。触媒フィルターは既設バグフィルターの中でばいじんとNOxを同時に低減する方式であり、独立した反応器型SCRを全面的に置き換える技術ではありません。必要な低減率が高い場合や、排ガスの温度・成分が合わない場合は、反応器型SCRが適していることがあります。まず既設設備との互換性評価が必要です。

触媒フィルターにも還元剤の注入設備は必要ですか?

はい。触媒フィルターは、フィルターの前で注入したアンモニア(NH₃)などの還元剤が、触媒上でNOxと反応する構造です。尿素水を使う場合は、フィルターに達する前にNH₃へ分解させる必要があります。還元剤の貯蔵・注入・制御設備が別途必要で、未反応のNH₃が排出されるリークアンモニアも合わせて管理する必要があります。

セラミックキャンドル方式と繊維系触媒フィルターは、どちらを選ぶべきですか?

排ガス温度と既設設備の構成で決まります。セラミックキャンドルはキャンドルの寸法(長さは通常2 m、最大3 m程度)に合う集じん機の構成が必要で、繊維系は既設バグフィルターのチューブシート・ケージの仕様と運転温度が合っている必要があります。どちらの方式も、現場の排ガス条件に基づく事前検討が必要です。

フィルターバッグが破れると、脱硝性能にも影響がありますか?

はい。ただし、影響の範囲は方式によって異なります。フィルターの後段に共用の触媒層を置く構造では、破れた箇所から漏れたばいじんが下流の触媒層に達するおそれがあるため、早期検知が重要です。触媒がフィルターバッグごとに独立している繊維系では、脱硝面の影響は当該フィルターバッグの範囲にとどまり、破れの点検と交換で対処します。どの方式でも、破れたフィルターバッグからはばいじんが漏れるため、早く見つけて交換する必要があります。

参考資料
  1. Tri-Mer Corporation, 「UltraCat Catalyst Filters Control PM, SO2, HCl, NOx & Dioxins」(メーカー資料、Georgia EPD掲載版)
  2. Tri-Mer Corporation, 「UltraCat Ceramic Brochure」(メーカー資料)
  3. Andrew Startin, Clear Edge UK Ltd. Cerafil Division, 「Ceramic filter elements for emission control and NOx reduction at high temperatures」, 2008(Georgia EPD掲載版)
  4. Pall Corporation, 「Catalytic filter module and catalytic filter system comprising same」, US 2014/0050626 A1, 2014(米国特許出願公開公報)
  5. Topsoe, 「CataFlex™ catalytic filter bags」(メーカー資料)
  6. W. L. Gore & Associates, 「NOx and NH3 Filter Bags」(メーカー資料)
  7. W. L. Gore & Associates, 「Filter Bags for the Waste-to-Energy Industry」(メーカー資料)
  8. デンマーク環境保護庁(Miljøstyrelsen, MUDP), 「Advanced catalytic bags for combined abatement of NOx and particulate matter in biomass boilers」, 2022
  9. Topsoe, 「CataFlex catalytic filter bags」, International Cement Review, 2020年10月(メーカー寄稿)
技術研究所

マイクロワン技術研究所

株式会社マイクロワン 企業附設研究所 · 韓国・天安

ろ材と触媒フィルターバッグを開発し、焼却施設の排ガス処理設備を設計・施工してきた経験をもとに現場の課題を研究しています。

  • 2025年 優秀企業附設研究所に指定(カーボンニュートラル環境・エネルギー分野)
  • 2024年 大統領表彰(環境配慮型技術の振興・消費促進功労)
  • 2024年 大韓民国発明特許大展 産業通商資源部長官賞
  • 登録特許44件(2026年10月時点)
  • ePTFEメンブレン・PTFE不織布・触媒フィルターバッグを自社生産

本記事は、マイクロワン技術研究所が公開資料と現場の経験をもとに執筆・確認しました。数値の出典は本文末尾の参考文献に記載しています。

本社
株式会社マイクロワン(本社・工場)
368 Yeongok-gil, Ipjang-myeon, Seobuk-gu, Cheonan-si, Chungcheongnam-do 31026, Republic of Korea
Tel: +82-41-587-6911Fax: +82-41-587-6922Email: info@micro-one.kr
唐津第2工場
韓国 忠清南道 唐津市 石門面 統亭里1307
ソウル事務所
165 Gasan Digital 1-ro, Geumcheon-gu, Seoul (371-6, Gasan-dong)
梁山事業所
13 Hyochung 2-gil, Sangbuk-myeon, Yangsan-si, Gyeongnam (1228-3, Sotori)
上海法人
Room 6-108, 59 Shennan Road, Minhang District, Shanghai, China

Copyright © Micro-one Co., Ltd. All rights reserved.